春が本格的に訪れました。ベルギーの森やコロラドの花々に彩られた丘を駆け巡る旅に心惹かれるなら、この季節の移り変わりを楽しむのにぴったりのホテルを紹介する特集をぜひチェックしてみてください。春の旅をより特別なものにしてくれる、とっておきの滞在先を厳選しました。
松林と紫色の花が咲き誇るヒースランドに囲まれた「ラ・ビュット・オ・ボワ」は、フランダース地方最大の森林自然保護区「ホーゲ・ケンペン国立公園」に佇む静かな隠れ家。元々はベルギーの騎士ラガス・ド・ロフト卿のために建てられた館で、現在は高級ジュエリーデザイナーであり、宝石コレクター、自然史愛好家でもあるヨッヘン・レーエン氏が所有しています。2024年に迎えた築100周年を記念して、彼が全面改装を手掛け、大規模な改装が施されました。
アメジストの欠片を埋め込んだサイドテーブルが、恐竜の化石や珪化木、砂の彫刻とともにプライベートダイニングルームを彩り、そのデザインは月面をイメージしたデザインになっています。夢のような世界観は「ムーンライトスイート」にも引き継がれ、9メートルの天井に映し出される夜空をベッドに横たわりながら楽しめます。さらに、2つ星ミシュランレストラン「ラルフ・ベレンツェン」の美食も味わえ、幻想的な雰囲気と大自然の魅力が見事に融合した滞在をお楽しみください。
一瞬、バイエルンアルプスにいるかのような錯覚を覚える「シッツマーク・ヴェイル」。ゴア・クリーク沿いの森林に佇む、一年中アウトドアを楽しめるホテルです。
スキーシーズンは11月から4月まで続き、この最後の月はコロラド州最大のスキー山で滑るには実はとてもおすすめの時期です。ヴェイル・バレーの「ゴンドラ・ワン」までスキーブーツのまま歩いて行ける好立地で、自宅からホテルまでスキー用具の宅配サービスも提供しています。
雪解け後は、アスペンの森をハイキングやサイクリングしたり、活気あるファーマーズマーケットを巡ったり、ヴェイル・バレー川でフライフィッシングを楽しむなど、大自然を満喫できます。
ホテル・アーバン・マドリッドという名前にはスペインの首都が含まれていますが、テラスプールがあるこのおしゃれなホテルは、世界の遠くの地からインスピレーションを受けています。館内にはオーナーが収集したパプアニューギニアや極東地域の骨董品や宝飾品が展示されています。さらに、グアテマラ産のグリーンマーブルやトロピカルチーク材などが随所に使われており、異国情緒漂うインテリアが魅力です。
ホテルはマドリードの「美術館トライアングル」内に位置し、プエルタ・デル・ソルや歴史あるハプスブルク朝時代の旧市街へも徒歩数分。ミシュラン星付きの「CEBOレストラン」では、11品または16品のテイスティングメニューが用意されており、「世界最高のクロケット」と称される、ホセリート産ハムとカラベルエラ熟成羊乳チーズを包んだ逸品も堪能できます。
ポーランドの首都で初のレストラン主導型ホテルとして誕生した「ノブ・ホテル・ワルシャワ」。開業以来、予約待ちが続く人気ぶりです。看板メニューの「ブラックコッドの味噌焼き」は必食ですが、和牛とフォアグラの餃子をスパイシーポン酢で味わう一品も美食家たちを魅了しています。
館内は、幾何学的な模様や華やかな装飾が特徴のアールデコ様式と、日本ならではの繊細な美意識が融合し、洗練された空間を生み出しています。伝統を感じるクラシックな本館と、産業的なデザインが際立つ新館の2つの棟に客室が分かれています。日本の伝統を重んじたバスルームでは、滑らかな質感のインテリアとウォーターフォールシャワーが調和し、高級スキンケアブランド「ナチュラ・ビセ」のアメニティも完備。ワルシャワのブティックやフードホールを巡った後は、サウナや地元のウォッカを使ったカクテル、専用の日本酒バーで夜をゆっくりと楽しみましょう。
HBOの「ホワイト・ロータス」シーズン3がドラマチックに幕を閉じる今、スクリーンの外でタイへの旅を続けるなら「ザ・リトリート・コー・チャン」がおすすめです。このリゾートへはボートでしかアクセスできず、波が打ち寄せるテラスや、移動式のチーク材のプールサイドバー、タイ湾を一望するスイートルームが、まるで無人島の隠れ家のような雰囲気を演出しています。
テレビスターのような滞在を楽しみたいなら、「ザ・リトリート・デュプレックス・プール・ヴィラ」へ。2階建てのヴィラには翡翠色のプールと屋外デッキがあり、専用の入り口からプライベートにアクセスできます。
スパではサウナや火山砂のバス、オーシャンフロントの3つのプールを巡りながら、タイ式マッサージやハーブコンプレスで時差ボケを癒しましょう。また、「思いやりのあるコレクション」リゾートの伝統的なフィッシングボートに乗り込み、島々を巡りながらマングローブの森をクルーズするのもおすすめ。夕暮れ時にはカクテルを片手に、海の恵みを活かしたシーフードディナーを堪能してください。
「音楽の島」として知られる鼓浪嶼(グーランユー)島。アモイからフェリーですぐのこの地に佇む「ホアン・ヤン・36・ホテル」では、レコードプレイヤーから流れるヴィンテージな音楽に迎えられます。中国福建省の伝統的な建築様式の影響を受けた閩南(ミンネン)スタイルのステンドグラスの窓や、南アジア風のタイルが心落ち着く空間を演出。屋外に設置されたスリッパ型のバスタブに浸かりながら、伝統的なアーチ窓越しに広がるアモイの街並みや、見事に咲き誇るカポックや龍眼の木々を眺める贅沢なひとときをお過ごしください。
車の乗り入れが禁止された鼓浪嶼では、移動は徒歩か電動バギーのみ。バニヤンツリーが並ぶ小道を散策しながら、黄金色のビーチや歴史ある庭園、アモイ・デコ・スタイルの建築を巡るツアーをホテルに相談してみるのもおすすめです。
タンクア湾の静かな海岸線に佇む「ベスポーク・トゥルム」のレジデンスは、屋内と屋外の境界が曖昧になるようなデザインが特徴で自然と一体化した空間を演出しています。とはいえ、活気あふれるリゾートエリアへは車でわずか10分。洗練されたライン、落ち着いたアースカラー、オーガニックな質感が織りなす空間は、周囲の緑豊かなジャングルやカリブ海の信じられないほど美しい青い海と見事に調和しています。
どのヴィラやアパートメントを選んでも、裸足でくつろぐような「自宅のような心地よさ」を満喫できるのが魅力。
ホテルのインフィニティプールと屋上のプランジプールを行き来しながら、太陽の下でマヤ料理を堪能するのもおすすめです。シェフによる本格的なクッキングクラスや、アガベから作られるメキシコの伝統的なアルコール飲料「メスカル」の試飲ツアーも用意されています。ホテルの親切なスタッフがリビエラ・マヤの自然や考古学的な名所を巡るベストなルートを提案してくれます。
ホテルのレンタルスクーターや無料のバギー送迎サービスを活用すれば、パキスタンの首都イスラマバードの街が存分に楽しめる「ザ・タウンハウス」。活気あふれる市街地とは対照的に、ここは心身をリフレッシュできる穏やかな空間が広がります。大きな窓からは街のスカイラインやマーガラ丘陵の美しい景色を望むことができ、バスルームには大理石が施され、レインシャワーやロクシタンのアメニティが用意されています。
24時間対応のルームサービスやコンシェルジュサービスに加え、屋上のウェルネスデッキにはバリ産の天然石を使ったディッピングプールや北欧風のサウナも完備。出かける前には「フィルター・コーヒーハウス」で職人が淹れるコーヒーとペストリーをテイクアウトしたり、北欧スタイルの「アントラー」でのんびりブランチを楽しんだりするのもおすすめです。
文:クロエ・フロスト=スミス